Vol.55_交わらない2軸

コンサルティング、自らの事業での会議、はたまた友人知人とお話しているとき、それは起こります。

品質や業務効率など、一つのテーマで課題を追求していて、煮詰まったときにそれは起こります。

「ニジクデ カンガエマショウ」

そう、この魔法の呪文「2軸で考えましょう」が発動するのです。

心のなかで私は「(えー? まだ一本の軸もできてないのに〜??)」と脱力しているのですが・・・

まあ、あんまり事を荒立てるのは苦手な方なので、そういうときは少しアイスブレイキングなお話

例「あ、そういえばイチジクは天正遣欧少年使節に随行したポルトガルの神父が日本に持ち込んだらしいですよ〜」

などといった、知っていてもなんの得にもならないムダ知識を披露しつつ、相手の考えをいなし、最初のテーマに集中してもらおうとします。

「2軸で考える」もちろんそのことは大切だと私も思います。

品質と価格、あるいは効率と設備投資など、「あちら立てればこちら立たず」の二律背反する要素を90度に交わるY軸とX軸の2軸でどこにバランスさせるか考えたり

緊急度と重要度や、業務能力とリーダーシップなど両方を満たしたり、満たさなかったりする要素をマトリクスで考えたり

2軸思考は大変有効な考え方で実際良く使います。

しかし2軸思考は重要視した最初の1軸をまず突き詰めてから90度に交わる2軸目を考えないと、そもそも2軸で考えたことの精度も落ちてしまうんじゃないかと思うんです。

しかもこの呪文を唱えた方のおっしゃる「2軸」というのはたいてい2つ同士になんの関連もない、別の要素のことを指していることが多くて・・・

価格と販売地域など、どこまで行っても交わらない平行線の如く、どちらも別々に追いかけなくてはいけないようなもの。

こう言っては申し訳ないのですが、リセット思考といいますか、「今考えてる軸について考えることはもうしんどいので、1回リセットして別のことを考えたい。」

というモードに入っているんじゃないかとも考えてしまいます。

昔から言われる通り「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということになってしまわないかと心配ですね。

私は話や思考が脱線しやすく、考えが多方面に「拡散する」タイプだと思われていますが、実は「突き詰める」タイプ。

決して「リセット」はせず、ジグザグに走りながらもどんどん課題を追い詰めていきます(ときには最初の課題を追い越してさらにその先の課題に行ってしまうこともありますが)。

まずイチジクを、いや「一軸を突き詰めてから、90度に交わるもう一本を考える」、「イチジクヲカンガエツヅケマショウ」。

パッと見では時間がかかりそうなこの呪文が、課題解決の早道じゃないかなと思いますよ。