第25回「目からウロコがはぎ取れる!経営に役立つポイント」

皆様はどの様な年末年始をお過ごしになりましたでしょうか?

私は12月23日の夜から発熱して24日~26日まで床に臥せってました…。幸いインフルエンザ、コロナでは無かったのですが、クリスマス用にと準備したオードブル、ケーキも味がさっぱりわからないという悲しい結末。

最近は風邪、インフルエンザ、コロナと流行っているので皆様も気をつけてください。

さて、前回お話しました船井電機の続報です。

今度は船井電機の親会社が、債権者から民事再生法の適用を東京地裁に申し立てられたとの報道がありました。申請したのは前社長が代表を務める秀和システムとのこと。他にも元役員を告発、経営権譲渡についても契約違反があったなどここにきて色々と出てきています。

闇が深そうです。この点につきましてはまた別途触れていきたいと思います。

さて、今回は「バランスシートから読み取れる、経営に必要な事項」について触れたいと思います。

繰り返しになりますが、バランスシートは、企業の財務状況を把握するための重要な財務諸表で、経営に必要な多くの情報を提供してくれます。

1.財務の安定性

  • 自己資本比率
    • 自己資本(純資産)÷総資本
      • 自己資本比率が高いほど、借入に依存しない安定した財務体制があると判断できます。

一般的には40%以上が非常に良好な状態で、20%未満は借入金への依存が高いために注意が必要になります。

  • 負債比率
    • 負債÷自己資本(純資産)
      • 負債が自己資本に比べて過大であれば、財務リスクが高いことを示します。

基準値として1.0以下であれば財務の安全性が高いといえます。2.0以上は危険な水準とされます。負債依存が高く、金利上昇や収益悪化の際に財務リスクが顕在化しやすいと判断されます。

2.資金繰りと流動性

  • 流動比率
    • 流動資産÷流動負債×100
      • 100%以上が望ましく、短期的な支払能力を示します。

200%以上だと非常に良好な状態とされます。流動資産が流動負債の2倍以上あるため、短期的な支払能力に非常に余裕があるとみなされます。100%未満の場合、流動負債が流動資産を上回っており、短期的な支払能力に不安があるとみなされます。

  • 当座比率(1年以内に現金化・費用化する流動資産のうち、現金や預金、売掛金、受取手形など)
    • (流動資産-棚卸資産)÷流動負債×100
      • 流動比率より厳密に短期支払能力を評価します。

100%以上は良好な状態とみなされます。当座資産が流動負債を上回っているため、短期的な支払能力に問題がないと評価されます。70%未満は当座資産が不足しており、短期的な債務支払いに困難をきたす可能性があります。

3.事業の健全性

  • 固定比率
    • 固定資産÷自己資本×100
      • 自己資本で固定資産がどの程度賄われているかを評価します。100%以下が理想です。

100%以下の状態は、自己資本の範囲内で固定資産を賄えているため、財務の安定性が高いとみなされます。150%以上は注意が必要です。固定資産が自己資本を大きく上回っているため、借入金の依存度が高く、財務リスクが増大している可能性があります。

  • 固定長期適合率
    • 固定資産÷(自己資本+長期負債)×100
      • 固定資産を長期的な資金でカバーできているかを示し、100%以下が望ましいです。

100%以下が理想的な状態。固定資産を自己資本と長期負債で賄えており、短期資金に依存しないため、財務の健全性が高いと評価されます。120%以上は、固定資産の多くを短期負債で賄っている可能性が高く、財務リスクが増大しているとみなされます。

4.成長性と投資の状況

  • 資産の増減
    • 過去のバランスシート と比較して総資産が増えているかを確認します。
  • 有形固定資産の比率
    • 設備投資が積極的に行われているか、もしくは適切に減価償却されているかを評価します。 

5.収益性に関連する資産の活用効率

  • 総資本回転率
    • 売上高÷総資本
      • 資本をどれだけ効率的に使って売上を上げているかを測ります。

良いとされる基準値は1.0回以上で、一般的には、1年間で総資本の金額と同じだけの売上を上げている状態が目安とされ、効率的な資本運用とみなされます。1.0回未満の場合、資本が効率的に使われておらず、過剰投資や在庫の積み上がりなどの問題がある可能性があり、注意が必要です。

  • 在庫回転率
    • 売上原価÷平均在庫高
      • 在庫が適正に管理されているかを示します。

5.0回転以上は在庫が約2〜3か月ごとに回転している状態で、効率的と評価されます。2.0回転未満は在庫の滞留が長く、運転資金の効率が悪化している可能性があるため注意が必要です。

6.リスク管理

  • 短期負債と長期負債のバランス
    • 短期負債が多すぎる場合、資金繰りリスクが高まります。
  • 担保や保証の状況
    • 負債に関連する担保資産が過大でないかを確認します。

7.資本政策の方向性

  • 利益剰余金
    • 内部留保の状況を確認し、将来の投資や配当の可能性を評価します。
  • 株主資本の推移

 自己資本が順調に増加しているかを把握します。


いつも読んでくださりありがとうございます。
今年もゆるーい感じでいきますので、よろしくお願いいたします。

ABOUT US
布川 昭文
中央大学経済学部卒業後、東証一部上場企業の建設会社に入社。支店経理、本社人事部で勤務。その後、会計事務所、シンクタンクにてスタッフ系業務全般及び調査・研究業務に携わる。シンクタンク時代には流通業の経理担当者向けのセミナー講師を定期的に務めた。また、2005年共著にて「経営計画・利益計画の立て方進め方(ISBN-10:4534039751)」執筆。 2021年 エースラボの理念「中小企業のパワーアシスト」に共感し参画。いままで様々な企業の業務改善に携わる。趣味で合唱をたしなみ、ベートーヴェンの第九をこよなく愛する。週末、ぶらぶらとドライブしながらの温泉巡りをすることもすき。