第14回「目からウロコがはぎ取れる! 経営に役立つポイント」

在庫管理について

こんにちは! エースラボの布川昭文です。

普段は「出張経理課長」として、契約企業様の日々の経理処理や毎月の状態把握に欠かせない月次試算表作成のお手伝い、さらには資金繰りや、資金調達に関わる支援業務を行っております。

これまでの経験をもとに、

「経理業務に直接タッチしない社長さんでもここだけは知っておいてほしい」

「ここを押さえておくと経営が楽になりますよ」

というところをピックアップし、なるだけわかりやすく、簡略にお伝えしていきたいと思います。

最近読んだ書籍で在庫に関して、「やはり」という内容が記載されておりましたので、在庫管理について触れてみたいと思います。

在庫管理とは

在庫管理とは、商品・材料等の在庫数や状態を適正な水準に保つ活動のことです。

次に在庫管理の目的についてですが、企業や組織が保有する商品や材料などの在庫を効果的かつ効率的に管理し、最適な状態で保持することです。

主な目的は下記のとおりです。

  1. 需要への適応
    • 在庫管理は、市場や顧客の需要に迅速かつ適切に対応するための手段です。
      需要の変動に柔軟に対応し、商品が顧客に供給可能な状態を維持することが求められます。
  2. 適切な在庫レベルの維持
    • 過剰な在庫や不足な在庫はともにコストのかかる状態です。
      在庫管理は、需要予測や生産計画に基づいて、適切な在庫レベルを維持することを通じて、コストを最小化します。
  3. 生産効率の向上
    • 在庫管理は生産プロセスに密接に関連しています。
      需要予測に基づいて生産を調整し、適切なタイミングで生産された商品が在庫として確保されることで、生産効率が向上します。
  4. 資本効率の改善
    • 適切な在庫管理は企業の資本効率を向上させます。
      過剰な在庫は資本を余分に拘束し、不足在庫は機会損失を引き起こす可能性があるため、バランスを取ることが重要です。
  5. リードタイムの短縮
    • 在庫管理はサプライチェーン全体にわたり、製品や資材が生産から顧客への移動する際のリードタイムを短縮する役割を果たします。これにより、迅速なサービス提供が可能となります。
  6. 品質管理
    • 在庫が適切な環境で保管され、適切な取り扱いが行われることにより、商品の品質を維持する役割もあります。品質の劣化や損傷を防ぐことが重要です。

これを読んでいただいてもお分かりの通り、経営にとってかなり重要な内容であることがお分かりいただけると思います。

次に、在庫管理を適切にすることのメリットをお伝えします。

在庫管理のメリット

  1. 適切な在庫レベルの維持
    • 需要に応じて正確かつ迅速に商品を提供するために、適切な在庫レベルを維持できます。これにより、商品が常に利用可能であり、顧客満足度が向上します。
  2. コスト削減
    • 適切な在庫管理は、過剰在庫や不足在庫を防ぐことにより、保管コストや資本コストを最小限に抑える助けとなります。過剰在庫による保管スペースのコストや資本の余剰な拘束を避けることができます。
  3. 生産計画の最適化
    • 需要予測や生産計画に基づいて在庫を調整することで、生産プロセスを最適化し、無駄な生産を避けることができます。これにより、生産効率が向上し、コストが削減されます。
  4. 顧客サービス向上
    • 適切な在庫管理により、商品の迅速かつ正確な発送が可能となり、顧客へのサービス品質が向上します。商品の入手可能性が高まることで、顧客の信頼性が向上し、リピート購買が促進されることがあります。
  5. 競争力の向上
    • 適切な在庫管理は企業の競争力向上に寄与します。素早い対応や高いサービス品質は、競争激化する市場での差別化に繋がります。
  6. リスク軽減
    • 適切な在庫管理はリスクを軽減します。例えば、需要の急激な変動やサプライチェーンの問題に対処しやすくなります。

在庫の透明性が高まることで、予測不可能な状況にも柔軟に対応できるようになります。

これらのメリットは、効果的な在庫管理が組織にとって非常に重要であることを示しています。

次に最も大切なことをお伝えします。

それは何かというと、「在庫はお金」であるということです。
「売れ続ける理由」(さいち代表取締役社長 佐藤啓二著)にも次のように記されております。

「毎日きちんと棚卸をして、在庫管理をすることが何よりも大切で、これをしないのはお金をどぶに捨てるに等しい」。

まさにその通りだと思います。

「在庫はお金」という言葉は、ビジネスや経済において一般的に使われる表現で、以下のような意味合いが含まれています。

  1. 資本の拘束
    • 在庫は企業の資本を物理的な形で拘束します。商品や資材が倉庫に保管されている間、その価値は資本として企業に固定され、他の用途には使えません。このため、過剰な在庫は余分な資本の拘束を意味し、適切な管理が求められます。
  2. 保管コスト
    • 在庫を倉庫や保管施設に保管するにはコストがかかります。保管スペース、保管設備、保険などのコストが発生し、これが企業の費用として計上されます。過剰な在庫はこれらのコストを増加させる可能性があります。
  3. 機会費用
    • 在庫に拘束されている資本は、他の有益な活動に投資することができる資金を表しています。過剰な在庫がある場合、その分だけ他の機会を失う可能性があり、これを機会費用と呼ぶことがあります。
  4. 流動性の低下
    • 在庫は流動性が低い資産です。商品や資材は売却するまで現金には換算できません。したがって、在庫が長期間保管されると、企業の流動性(現金の利用可能性)が低下する可能性があります。

このように、「在庫はお金」という表現は、適切な在庫管理が重要であり、無駄な在庫は企業にとってコストや機会費用の増加をもたらす可能性があることを強調しています。

効果的な在庫管理は、需要予測や生産計画の最適化を通じて、適切な在庫水準を維持し、企業の効率性や収益性を向上させる重要な要素になります。

日本を代表する実業家の稲盛和夫氏も著書の「稲盛和夫の実学」の中で次のように述べています。

「棚卸は人任せにせず、本来経営者が自分の目で見て、自分の手で触れて行うべきものである。

自分も一緒になって倉庫で検品をして、「これは3年前から一向に売れていないではないか、これはもう捨てなさい」と言ってこまめに見て回るようにすべきものである」と。

中々実践するのは難しいかもしれませんが、本当に重要なことだと思います。

皆さんも自社の在庫管理について、しっかり管理が出来ているか、長期間滞留しているものが無いか、再確認してみるようにしてください。

全てでは無いとは思いますが、在庫管理が出来ていない会社ほど、資金繰りに窮しているように感じます…。

今回はここまで。次回もお楽しみに!

ABOUT US
布川 昭文
中央大学経済学部卒業後、東証一部上場企業の建設会社に入社。支店経理、本社人事部で勤務。その後、会計事務所、シンクタンクにてスタッフ系業務全般及び調査・研究業務に携わる。シンクタンク時代には流通業の経理担当者向けのセミナー講師を定期的に務めた。また、2005年共著にて「経営計画・利益計画の立て方進め方(ISBN-10:4534039751)」執筆。 2021年 エースラボの理念「中小企業のパワーアシスト」に共感し参画。いままで様々な企業の業務改善に携わる。趣味で合唱をたしなみ、ベートーヴェンの第九をこよなく愛する。週末、ぶらぶらとドライブしながらの温泉巡りをすることもすき。