第8回「目からウロコがはぎ取れる! 経営に役立つ決算書の読み方③」

「出張経理課長」布川昭文の「これでじゅうぶん! 社長の経理知識」

ウチの成績 どうやってヨソと比較したらいいの? キャッシュフロー計算書編

こんにちは! エースラボの布川昭文です。

普段は「出張経理課長」として、契約企業様の日々の経理処理や毎月の状態把握に欠かせない月次試算表作成のお手伝い、さらには資金繰りや、資金調達に関わる支援業務を行っております。

これまでの経験をもとに数回にわたり、「経理業務に直接タッチしない社長さんでもここだけは知っておいてほしい」「ここを押さえておくと経営が楽になりますよ」というところをピックアップし、なるだけわかりやすく、簡略にお伝えしていきたいと思います。

前回に引き続き「決算書の読み方」をお伝えします。

前回まではバランスシートと損益計算書に焦点をあてて説明をさせて頂きました。今回からキャッシュフロー計算書について触れていきたいと思います。
キャッシュフロー計算書は、全ての企業に対して作成義務があるバランスシートと損益計算書とは違い、2000年に上場企業に作成が義務付けられました。しかし、非上場企業でも、資金の流れを認識する手法として作成が一般化されつつあります。会社経営にあたり、資金の流れを掴むことはとても大切なことです。
                                                                          キャッシュフロー計算書
まず、キャッシュフロー計算書が注目されだした背景を見てみましょう。通常の取引では、商品を販売してから代金が回収されるまでには、時間がかかります。
売上目標を達成できたとしても、資金回収に時間を要してしまうと資金繰りが厳しくなってしまい、最悪の場合、利益は出ているのに、支払が滞ってしまい「黒字倒産」に至ってしまいます。
皆さんは理解をしているとは思いますが、黒字であってもお金が無いと会社は倒産してしまうのです。この資金の動きはバランスシートや損益計算書からは掴むことが難しいので、キャッシュの動きを掴むことができるキャッシュフロー計算書が注目されるようになったのです。
                                             キャッシュフロー計算書は、財務諸表の一つでキャッシュフロー(現金の受入と支出)を明示的に記録する財務報告書です。キャッシュフロー計算書は、現金の受け渡しを追跡し、現金の収入と支出を明確に示すことで、キャッシュフローの状況を把握するために使用されます。位置づけとしては、損益計算書を補うものになります。皆さんは、利益は「意見」、キャッシュは「真実」という言葉を聞いたことがないでしょうか。損益計算書において、表面上の利益は会計ルールに基づいて計算がされます。どの選択肢を選ぶかによって利益は変動します。経営者の「意見」が反映されるのです。一方、キャッシュフローは、現金の受入と支出を表しており、キャッシュが変わることはありません。キャッシュは「真実」を表しているものなのです。
                                                                       キャッシュフローの構造
キャッシュフロー計算書は、一般的に以下の3つのセクションから構成されています。

営業キャッシュフロー
企業の主要な業務活動に関連する現金の受入と支出を記録します。簡単に説明すると「本業でどれだけ稼げたか」を表しています。売上高、売掛金、仕入、買掛金、給与支払いなどが含まれます。

投資キャッシュフロー
企業の投資活動に関連する現金の受入と支出を記録します。将来の価値創造のための投資ですね。固定資産の取得や売却、投資証券の売却などが含まれます。

財務キャッシュフロー
企業の財務活動に関連する現金の受入と支出を記録します。資金調達や返済です。新株の発行や株主への配当支払いなどが含まれます。
因みに、営業キャッシュフローに投資キャッシュフローを加減したものをフリーキャッシュフローと呼びます。このフリーキャッシュフローが大きいと安定度が高い会社という判断がされます。

キャッシュフロー計算書のイメージが分かりやすいように図に表しました(下図)。
期首残高500に営業活動の300が加算され(800)、投資活動で840使用。この時点で△40となっているので、財務活動で460補填し、最終の期末残高が420になります。左のイメージの場合のフリーキャッシュフローは300-840で△540となります。
キャッシュフローを眺めることで、会社の経営状況が見えてきます。

   

営業CF投資CF財務CF
プラス⇑本業が順調守りの経営導入・成長期
マイナス⇓本業が苦戦攻めの経営成熟・衰退期

営業キャッシュフローがプラスの状況の場合は、本業が順調といえます。逆にマイナスの場合は、本業で苦戦をしてる状況です。
マイナスが続くようであれば要注意になります。投資活動によるキャッシュフローからは、事業を拡大させるために必要な投資を行っているかどうかを読み取ることができます。
積極的に投資を行えばマイナスに転じ、保有する資産等を売却してプラスに転じ、事業を縮小している場合は、守りの経営が行われているといえます。
最後の財務活動によるキャッシュフローは、キャッシュの不足を補う動きを示しています。プラスに転じている場合は、事業の導入・成長期にあります。事業をスタートさせて直ぐには運転資金を確保する必要があるため、銀行からお金を借りることが通常です。
逆にマイナスになっている場合は、事業が成熟・衰退期に入っていることが伺えます。事業が軌道に乗って、銀行への借入金の返済が進んでいる状態を表しています。

上記で示したことを理解しておくとキャッシュフローを見るときには便利なので覚えておくようにしてください。まずは、今回はここまで。次回もキャッシュフローについて触れていきたいと思います。

ABOUT US
布川 昭文
中央大学経済学部卒業後、東証一部上場企業の建設会社に入社。支店経理、本社人事部で勤務。その後、会計事務所、シンクタンクにてスタッフ系業務全般及び調査・研究業務に携わる。シンクタンク時代には流通業の経理担当者向けのセミナー講師を定期的に務めた。また、2005年共著にて「経営計画・利益計画の立て方進め方(ISBN-10:4534039751)」執筆。 2021年 エースラボの理念「中小企業のパワーアシスト」に共感し参画。いままで様々な企業の業務改善に携わる。趣味で合唱をたしなみ、ベートーヴェンの第九をこよなく愛する。週末、ぶらぶらとドライブしながらの温泉巡りをすることもすき。