第1回「バランスシート(貸借対照表)とは一体何か?

「出張経理課長」布川昭文の「これでじゅうぶん!社長の経理知識」

こんにちは! エースラボの布川昭文と申します。

普段は「出張経理課長」として、契約企業様の日々の経理処理や毎月の状態把握に欠かせない月次試算表作成のお手伝い、さらには資金繰りや、資金調達に関わる支援業務を行っております。

これまでの経験をもとに今回から数回にわたり、「経理業務に直接タッチしない社長さんでもここだけは知っておいてほしい」「ここを押さえておくと経営が楽になりますよ」というところをピックアップし、なるだけわかりやすく、簡略にお伝えしていきたいと思います。

第一回は、ご自身の会社の経営状態を把握するために、何をおいても知ってほしい「バランスシート(貸借対照表)とは一体何か?」というお話です。

貸借対照表は、決算書を構成する財務3表のうちの1つです。英語では「Balance Sheet(バランスシート)」と表示されており、「B/S」と呼ばれることも多いです。

一言でいうと「企業の財務状態」が分かる計算書になります。

貸借対照表の右側は「資金の調達」左側は「資金の運用」を表しており、企業の経営状況を客観的に把握することができます。リスクや課題を発見して、経営改善をするための重要な役割を果たしています。

貸借対照表の右側合計額と左側合計額は必ず一致します(だからバランスシートと呼ばれます)。貸借対照表は「資産」「負債」「純資産」の3つから構成されます。貸借対照表の左側に「資産」が、右側に「負債」と「純資産」が表示されます。

左側にある「資産」を大きく分けると「流動資産」「固定資産」に分けられ、「流動資産」には現金・預金、受取手形、製品などが含まれます。

「固定資産」には有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産があり、建物、自動車、土地、ソフトウェア、出資金などがあります。

短期的に資金の回収が出来るのが「流動資産」、資金回収が長期に及ぶものが「固定資産」です。基本的に1年以内に現金化するのが見込まれているものが流動資産、それ以外が固定資産となります。

右側にある「負債」も「資産」と同様に「流動負債」と「固定負債」に分けられます。

「流動負債」には買掛金、短期借入金などが含まれ、「固定負債」には長期借入金、社債などが含まれます。

「負債」は「資金の調達」のうち、他人から借入したもので、1年以内に返済するものを「流動負債」、それ以外を「固定負債」に分類しています。「負債」は返済の必要性があることから、「他人資本」とも呼ばれます。

右側にあるもうひとつが「純資産」で自己資本とも呼ばれ、資本金、利益剰余金、新株予約権などが含まれます。資本金、利益剰余金はまとめて「株主資本」と呼ばれ、企業が自由に使うことが出来るお金になり重要です。

いかがでしたか?

実は私、貸借対照表を拝見すると、その会社の状態だけでなく、社長さんの経営方針や、これまで会社が歩んできた道なんかが、なんとなくわかるんですよ。

次回は社長さんが貸借対照表のどこを見るべきか、押さえておくポイントについてお話しします。

ABOUT US
布川 昭文
中央大学経済学部卒業後、東証一部上場企業の建設会社に入社。支店経理、本社人事部で勤務。その後、会計事務所、シンクタンクにてスタッフ系業務全般及び調査・研究業務に携わる。シンクタンク時代には流通業の経理担当者向けのセミナー講師を定期的に務めた。また、2005年共著にて「経営計画・利益計画の立て方進め方(ISBN-10:4534039751)」執筆。 2021年 エースラボの理念「中小企業のパワーアシスト」に共感し参画。いままで様々な企業の業務改善に携わる。趣味で合唱をたしなみ、ベートーヴェンの第九をこよなく愛する。週末、ぶらぶらとドライブしながらの温泉巡りをすることもすき。