知り合いや契約先の社長さんから ときおりですが 人事評価や給与制度の相談を受けることがあります
さまざまなご相談内容を乱暴に集約しますと
・現状明確な給与制度がなく 個々の給与はなんとなく決まっている モヤモヤしている社員が納得できるうまい方法はないものか
・昇給するしくみがなく できる社員もそうでない社員も一斉に上げるか 管理職や役員などに「昇格」させてやるしか方法がない 評価で給与が上がるしくみが欲しい
といった感じでしょうか?
そういえば当社でもそんなこともあったなぁ・・・と当時を懐かしみながら
「基本的なしくみづくりは社労士さんに相談してみたら? 基本的な考え方やなんかは 相談に乗りますよ」
と答えることにしているんですが 実際に相談された社長さんが給与制度に手をつけるケースは残念ですがまれですね
また相談をくださる人から 必ずと言って良いほど発せられるワンフレーズがありまして 私はいつもそれに引っかかりを感じてしまいます
それは「がんばっている社員に報いたいんですよね〜」というもの
こんなことを言うと「あ〜出た出た 沢田さんの 非人間的感性アピール しばらく休んでも 変わんないな〜」というようなことを感じた方も少なからずいると思います
いえ 私だってがんばっている人を応援する気持ちくらいは持ち合わせてますよ これでもいちおう人間ですから(笑)
ただ 会社のトップとして がんばっているか否かで社員を評価し それで給与の多寡を決定する という考えはどんなもんかな? と考えているんです
もちろん「がんばり」を評価したいという気持ちを全くわからない というわけではないんです
しかし いったい何をもって がんばっている と評価すればいいんでしょう?
例えば 何らかの集計(給与計算とか)で 表計算ソフトの計算機能を使わず 一日掛けて一生懸命電卓で合計を出して 手入力している人は がんばっているのでしょうか?
まあ このくらいだと実際にいそうですから もっと極端なケースとして
「バケツの水を他のバケツに移し、終わったらまた元のバケツに戻す」
これを会社に来て一日汗だくで無我夢中でやり続けている人は がんばっているのでしょうか?
そんなのだめに決まってるでしょ! そういうのをムダながんばりって言うんですつーか そんなヤツがいたら気持ち悪いんですけど・・・
ですよね〜 これは実はドストエフスキーの小説にある囚人に対する拷問についての記述で「これを何日もやらされた人間は発狂してしまう」と書かれています
万一これを毎日無我夢中でやっていたら 本人は筋肉モリモリになるかも知れませんが 会社としてはなんの意味もありませんね
私が言いたいのは ただ漠然と「がんばっている」のではなく 会社の生産性のためにがんばっている人を評価するべきじゃないですか?
という極めてシンプルなことなんです
え? そんなの当たり前? お前に言われなくてもわかっている?
ですよねー
じゃ いちおうクイズですけど
Q.何をどう見たら 社員さんが会社の生産性のためにがんばっているのかどうかがわかるんですか?
A1.数字を上げたから?
個人成績で評価できる保険のセールスなどはいざ知らず ほとんどの会社がチームで仕事をしていますので 楽に数字の上がる人もいれば 割に合わない役割の人もいるのが実態ですから ことはそう簡単ではないと思いますよ
A2.毎日遅くまで仕事をしているから?
ただ能率が悪く時間あたりの生産性が低かったり 家に変えると電気代がかかるから 空調の効いた快適なオフィスにいたいだけかも知れませんね
A3.みるからにテキパキと動いているから?
あなたが見ているから 張り切っているだけかも知れませんね
むかし部活なんかで ふだんは準備運動もせずだべっているばかりで コーチが見ているところだけは 張り切って声を出している補欠の先輩はいませんでしたか?
ま そんな人を高く評価したいなら別に止めませんけどね
・・・いかがでしょうか?
がんばっている社員さんを評価したい そのお気持ちは痛いほどわかりますが 実際に評価してみようと思うとなかなかむずかしい ということを実感いただけたと思います
いわゆるがんばっている人の評価の難しさをもう少し掘り下げますと
・中小企業の仕事も昨今 けっこうホワイトカラー的な要素が高く 生産性を上げるべく がんばっているか否かは 体や声の動きを見ただけではわかりにくい
・そもそも彼らの給与の源泉たる会社の付加価値(限界利益≒粗利益)は、納品物やサービスに対するお客様からの純粋な評価で決まるので 見た目がんばっているかどうかとは直接の関係がない
・なのでがんばっているかどうかで評価すれば 社員の大半が「(評価者から)がんばっているように見える行動を取ること」を優先し 実際の付加価値を生む行動をする時間を犠牲にする傾向が生まれ 実際の成果が下がり 社員に分配できる原資が減る
ということになりかねないのではないでしょうか?(実際私もこれで失敗しています)
私は この「がんばる問題」の原因は
・「がんばる」の主語が各人にとってまちまち
・仮に「会社の生産性」を主語にできたとしても「会社の生産性」の理解が各人にとってまちまち
で結果的に ふわふわした がんばっている空気が蔓延しているものの だれもその正体をつかめず 社長さんも がんばりを評価したくてもできない
ということになっているのではないかと思います
なので「がんばっている社員に報いたい」のなら「当社の生産性を上げるがんばりとはこういうことですよ」という明確な指標が明文化されていないとダメだと思います
そしてその指標は必ずその会社の理念なりビジョンなりときちんと紐付けられていている必要があります
そこをちゃんとやってないと みんなが目先の評価のためだけにがんばって 会社として実績が上がらない もしくは実績は多少上がるけど 働きがいのない 魅力のない会社になってしまいます
会社の理念・ビジョンと紐づいた 会社の生産性が上がる 評価基準をご覧になりたい方は いつでもご連絡ください 実物をご覧に入れますよ