第5回「財務を強くするバランスシート対策」その4

「出張経理課長」布川昭文の「これでじゅうぶん!社長の経理知識」

こんにちは! エースラボの布川昭文です。

普段は「出張経理課長」として、契約企業様の日々の経理処理や毎月の状態把握に欠かせない月次試算表作成のお手伝い、さらには資金繰りや、資金調達に関わる支援業務を行っております。

これはこれまでの経験をもとに数回にわたり

  • 経理業務に直接タッチしない社長さんでもここだけは知っておいてほしい
  • ここを押さえておくと経営が楽になりますよ
    以上をピックアップし、なるだけわかりやすく、簡略にお伝えしていきたいと思います。

今回は「財務を強くするバランスシート対策 その4」をお伝えします。

これまで4回にわたり「資産の部」について説明させて頂きました。

これらはお金の運用状態(お金がどのようなものに姿を変えたか)を示しています。

今回は資金の調達状況(そのお金をどうやって会社に持ってきたか)を示しているバランスシートの右側にある「負債の部」及び「純資産の部」について触れていきたいと思います。

先ずは「負債の部」についてです。

負債には「流動負債」と「固定負債」が存在しており、企業が返済しなければならない債務が記載されています。

1年以内に返済予定があるものが「流動負債」1年を超えて返済するのが「固定負債」になります。

「流動負債」には
  • 「買掛金」
  • 「短期借入期」
  • 「賞与引当金」

などがあります。

「固定負債」には
  • 「長期借入金」
  • 「社債」
  • 「退職給付引当金」

などがあります。

これらは返済義務があるので「他人資本」と呼ばれることもあります(退職金もいずれ必ず他人となった退職者に渡ります)。

次は「純資産の部」です。

これは資本から負債を差し引いたものになり、負債の「他人資本」に対して返済義務がありませんから、「自己資本」とも呼ばれます。

純資産は、株主からの払込金である「資本金(解散まで返済義務がない)」

企業が稼いだ純利益の蓄積である「利益剰余金」などで構成されています。

安全性をみる指標として「自己資本比率」があり、これは、「負債の部」と「純資産の部」の合計額である総資本に対する自己資本が占める割合をいいます。

自己資本比率が高い会社は返済義務のある負債が少ない、ということを耳にされたことがあると思います。

自己資本比率が高いということは、総資本に占める自己資本の割合が負債よりも大きいということです。

逆に自己資本比率が低いということは負債が大きいことを意味し、これは、返済義務がある債務を多く抱えて経営を行なっていることになり、資金繰りに行き詰まりやすい状態です。

また、自己資本比率の低い会社は金融機関等からの信用を得にくく、新たな資金調達が困難になります。事業で利益を生み出さなければ、新たな借入をしないと資金が回らなくなり倒産のリスクが高くなります。

自己資本比率が50%を超えていれば倒産のリスクは低いといえるでしょう。

世間一般的な目安としては30〜40%といわれております。

自己資本比率を高める方法として「自己資本を高める」、「総資本を減らす」の2つがあります。

「自己資本を高める」には、増資をすることや利益を生み出して内部留保を高める方法があります。

一方の「総資本を減らす」方法としては、借入金などの負債を減らすことが挙げられます。

また、長期間未回収となっている売掛金の整理や販売不能状態になっている在庫の処分、未使用の土地など固定資産の売却を進めることで、総資本を減らすことが可能になります。

次回以降は、いよいよ経営判断のための決算書の読み方について触れていきたいと思います。
ABOUT US
布川 昭文
中央大学経済学部卒業後、東証一部上場企業の建設会社に入社。支店経理、本社人事部で勤務。その後、会計事務所、シンクタンクにてスタッフ系業務全般及び調査・研究業務に携わる。シンクタンク時代には流通業の経理担当者向けのセミナー講師を定期的に務めた。また、2005年共著にて「経営計画・利益計画の立て方進め方(ISBN-10:4534039751)」執筆。 2021年 エースラボの理念「中小企業のパワーアシスト」に共感し参画。いままで様々な企業の業務改善に携わる。趣味で合唱をたしなみ、ベートーヴェンの第九をこよなく愛する。週末、ぶらぶらとドライブしながらの温泉巡りをすることもすき。